相模原校 淵野辺校 相模大野校
英検1級、準一級の合格者や、英検で高得点を修めた人でも、英語が話せない人は大勢います。これでは、ピアノの音楽理論試験に合格してもピアノが弾けない人や、自動車教習の筆記試験に合格しても運転できない人と同じです。
英検合格の為に必要なのは会話能力ではなく、むしろ受験の技術だからです。つまり、詰め込み式で覚える文法の知識です。その為、多くの人は英検合格の為の勉強として過去問を解きます。
オアシスでも数年前から英検を受ける生徒を指導しています。私が英検について感じたのは以下の通りです。
1.概してリスニングの内容は読解よりも簡単です。オアシスの生徒はリスニングが簡単だと感じるようです。
2.リスニングは受験年齢層にあった内容ですが、読解は受験年齢層よりも上の年齢層にふさわしい内容である場合がほとんどです。
3.読解は、eメールや広告、ニュース記事など、生徒たちの日常生活と関連性の薄い内容が多く含まれています。
英検の試験内容と、「英会話」の学習法や教授法には、大きな溝があります。限られた授業時間内でこの溝を埋めるのは至難の業です。英語のコミュニケーション能力と試験で好成績を収めるという二兎を追うには戦略が必要です。
英語でのコミュニケーション能力を高めるためには、生徒の日常生活に密着し、常に使用できるような内容を取り上げるべきです。どんな言語でも、流暢に話せるようになるためには、適切な言葉を適切な文脈の中で使った練習に多くの時間を割くことが求められます。昨日の夕食、帰り道での出来事、好きな食べ物、思ったこと、部屋の様子などについて話すことで練習できます。一方、環境問題や経済などについて10代前半の子が語ることは不自然です。にもかかわらず、英検にはこの様な話題がよく出題されます。更には、この様な話題において自分の意見を求められることもあります。もちろん、この年代の生徒たちは概してこの様な話題には詳しくありません。つまり、外国語である英語でこの様な課題に取り組むこと自体、ハードルが高いのです。
語学学習はしっかりした基礎を築くことに役立ちます。基礎を築くには時間と努力を要します。基礎が完成すれば、その上に建物を建築することは簡単です。私自身の経験から申し上げれば、日本語の基礎を習得した今なら、更に難しい事も以前より簡単に習得することができます。基礎がしっかりしていない人よりも早く、専門用語や技術用語も理解できます。自力で多くの事が学べます。初心者だった頃よりも簡単に自分の意見を述べられます。
英検に取り組むためにはしっかりとした基礎を築くところから始めなければなりません。テストの技術ではなく、読解力と会話能力を身に着ける事に注力します。最終的な目的は、生徒たちにどんな種類の英語のテストにでも対応できる能力を身に付けさせることです。経験から、会話力のある生徒たちに受験の技術を教えるのは、そうでない生徒に教えるよりも簡単と言えます。
次回は、英検受験のための具体的なステップについてお話します。