私が5つの言語を話せる理由

効果的で楽しい親子レッスン私が5つの言語を話せる理由

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私はザンビア出身です。

ザンビアには73の部族がいます。どの部族も独自の言語を話します。似ている言語もあれば、全く似ていない言語もあります。私はチェワ族で、妻はトンガ族です。この二つの部族の言語は全く異なります。

私の両親はザンビア東部の出身ですが、父の仕事の関係で北西のコッパーベルト地方へ引っ越しました。私を含め兄弟5人はそこで生まれました。コッパーベルトで生活することは、小さい時から2つ以上の言語を話すことを意味します。家ではチェワ語を話し、友達と遊ぶ時は現地語であるベンバ語を使いました。

私は幼稚園へは行かず、7歳から小学校へ通い始めました。学校では英語が始まり、他の科目も英語で授業が行われました。更に、現地語であるベンバ語の授業もありました。母語であるチェワ語は学校では教えていませんでした。両親の出身地であるザンビア東部地域の学校では教えられていました。

14歳の時父が亡くなり、母方の祖母の家へ引っ越しました。祖母はンゴニ族なのでンゴニ語を話します。従兄弟達もです。そこで、3つ目の言語となるンゴニ語を話すようになりました。ンゴニ語はチェワ語と似ているので、それほど難しくありませんでした。

1年生の英語とベンバ語の授業では、たくさんの読み書きを行いました。

1年生の授業では歌を歌ったりします。先生の後について繰り返したり、先生と交代でフレーズを歌いました。自分が言っていることを全て分かっていたわけではありませんが、文章は覚えてしまいました。また、単語を正しく発音していないこともありました。しかし、何度も繰り返したフレーズを何年たっても忘れる事はできません。

学年が上がるにつれて読解力が身についてきました。高学年になると英語の物語を読みます。文法、読解、語彙に加え、本の内容についての問いに答えたりします。この授業のおかげで、読解を通して英語の能力を高める基礎を築くことができました。

 

英語を第2言語で学ぶには、読解力を高めることが必須です。私は、家では英語のテレビ番組を見ましたが、学校以外で英語を話す事はありませんでした。英語が読めたので、よく図書館へ行って本を読みました。小学生にもかかわらず、国際ニュースの雑誌など、いろいろな文章を読みました。ニュース雑誌の英語は難解でしたが、辞書を引きながら英語の能力を高める事が出来ました。

30歳の時に日本に来ました。日本は私の知っている事とは、なにもかも全く違っていました。日本語は今まで聞いたことのある言語とは全く似ても似つかないものでした。ザンビアの言語の文法は英語に似ています。高校生の時にはフランス語を学びましたが、日本語よりもフランス語の方が親しみを感じました。英語とフランス語には似た単語がありますから。ポルトガル語とスペイン語にも挑戦しましたが、これらも英語に似たところがあります。日本語は全く未知の領域でした。

日本に来て数か月後週に1度日本語のレッスンを受けはじめ、数年続けました。典型的な方法である文法から学び始めました。日本語の文法はとても難しく、理解するのに大変でした。動詞の変化を覚えるのは不可能でした。そして数詞です。英語(母語でも)では、名詞を覚え、その前に数を付けるだけです。しかし日本語では名詞を覚え、更にそれに対応する数詞も覚えなければなりません。英語では、人間、家、本、国を数える時も名詞の前に数字を付ければよいですが、日本語では1冊、1軒のように数詞が必要です。更に、動詞の変化を覚えるのも至難の業でした。

数年前に、日本語のビジネスの講義のCDを買いました。どうしても講義の内容を理解したかったので、最低でも1週間、同じCDを何度も繰り返し聞きました。そして、意味を理解する前に文章を覚え始めていることに気が付きました。意味を知る前に言い回しを覚えていたので、使わなければならない時にすぐに頭に浮かぶようになりました。以前難しいと感じていた数詞、動詞の変化などの文法の苦労が自然と消えていきました。私にとっては、実際に使われるのを聞くことが、正しい動詞変化や形容詞を覚えるのには簡単な方法でした。

思い起こせば、小学校で習った第2言語としての英語も聴解が基本でした。聞くことで、発音の仕方、言葉の使い方を学んだのです。それが単語を正しく読むことへつながり、読むことで総合的な英語力が向上したのです。

同様の方法が日本語の読解にも役立ちました。日本語は聴解から学びました。そして漢字も読めるようになりました。例えば、「氷点下10度」を初めて目にしても、正しく読めました。何故なら、氷点下10度という日本語は聞いたことがあったし、発音もできたからです。更に、「氷」という漢字も知っていて、「点」と「下」という漢字も知っていました。同様にして様々な熟語や言い回しも理解できるようになりました。

日本語を読めるようになるには長い時間がかかるので、聴解から始めるのは現実的です。漢字を覚えるには大変な努力と時間を要しますが、話す事から始めればこの時間を短縮できます。

私が5つの言語を習得した過程は、日本で英語を学ぶ皆さんの状況とは全く異なります。私は、その言語が実際に使われている場所にいたので、その言語を使わざるを得なかったのです。一方、皆さんはそのような機会に恵まれていません。しかし、どんな状況でも言語を効果的に学ぶ方法はあるのです。

Simon Sakala  サカラ サイモン 

 

Oasis英会話代表 サカラ サイモン (Simon Sakala)

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