ビルの建設から学ぶ事

ビルを建てるには多くの時間と労力を必要とします。
まずは計画です。良い計画にはお金と時間がかかります。実際の建設に労力をかける前、計画をたてる段階で多くの労力がかかります。次は、工事が滞りなく行えるようにするため工事現場の準備です。地面を均し、資材を並べ、建設資材を持ち上げる機械や安全設備を設置します。構造物を建てる前に、沢山の労力がこれらの作業に使われます。それから基礎工事です。この段階はとても時間がかかるように見えます。長い間殆ど何も行われていないように見えます。しかし、基礎工事は建物の建設にはとても重要で、良い基礎には非常にコストがかかります。基礎工事完了後、上部の建造物の建築がはじまります。建物が完成した後は、不要となった足場の解体です。
学習も同様に時間がかかります。
実際の学びが始まる前に、計画と準備を入念に行わなければなりません。これは、子育てや教育全般に当てはまることです。
まず準備です。この期間に明確な目標を定める事が必要です。次は環境です。目標を達成できるような環境を作り出すことです。そして、学習者をその環境に置きます。環境に慣れるまでに時間がかかります。環境に慣れたら学習が始まりゆっくりと効果が表れます。
多くの方、特に幼児の親には学びが習慣付くまで待てない事例が多く見受けられます。すぐにあきらめて子どもをその「環境」から引き戻してしまうので、学びの機会を奪ってしまいます。多くの方は子どもの準備が整ったら再びその環境に戻そうと考えているようですが、実は子どもはその環境の中でのみ学びの準備をしているのです。子どもをその環境から一度引き離し後で戻すことは、症状が良くなるだろうという憶測のもと、患者を医者から引き離す事と同じです。
建物が一つ一つ段階を踏んで建造されるように、学習者が良い結果をもたらす環境の中にとどまってこそ、ゆっくりと確実に成長します。そして、目標に集中し、段階ごとの成長を観察することが欠かせません。他人と比べるのではなく、学習者個人の成長の足跡を計測すべきです。

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