理由は息子なのです - その2

長男が生まれた時、色々な事をとても心配しました。未熟児で生まれたので、普通の子のように成長しない可能性がありました。お医者様も、障害が残る可能性が 非常に高いとおっしゃっていました。先生方と病院のソーシャルワーカーの方々が非常に助けになってくれました。どのような障害が残る可能性があるかを理解 し、その上で子育てができるように、本を貸してくれました。これが、私が子どもについて勉強しようと思ったきっかけでした。しかし、本をきちんと読んだと は言えませんでした。

淵野辺から横浜のこども医療センターまで、毎日、息子に会いに行きました。入院していた3か月間、一日も欠かさず通いました。この期間、様々な障害をもった 子や、いろいろな健康状態の子どもを大勢見ることになりました。そして、「もしも長男に同様の障害があったら...」と考えるようになりました。

仕事では、子どもに教える事が楽しく、また上手に教えられるようになっていました。子どもについて学び、いろいろな方法やトリックを取り入れてみました。子ども達はいつも好奇心に満ちていて、喜ばせることも楽しませることも簡単だということが判ってきました。また、子ども達はとても頭がよく、それを大人たち に知ってほしいと感じていることもわかってきました。私はこれらの知識を使って、効果的で楽しいレッスンを考え出しました。

子どもに教える事が天職だと実感した出来事がありました。YMCAに勤務していたある日、幼稚園入園前の子どもに体験レッスンをするよう指示を受けました。 小さな女の子が母親に連れられてやってきました。その日の生徒は彼女だけでした。スタッフと一緒に教室で待っていると、その子は母親と一緒に部屋に入って きました。でも、私の顔を見た途端大声をあげ、「怖い!」と叫んだのです。それまで黒人と接したことが無かったのでしょう。母親にしがみつき、私の事を見 さえしませんでした。一体、何をどうしたらよいか、途方に暮れてしまいました。

私はその女の子について何も知りませんでした。そこに立ったまま、どうすればいいか考えました。手に持った巾着袋には果物の形をしたおもちゃが入っていました。15分ぐらいたったでしょう。女の子はまだ落ち着いていませんでしたが、私をちらりと見るようになりました。私は、彼女が興味を示していることを察知 しました。子どもに何かをさせる時は、今でも、子どもが興味を示す何かを探し出し、それを利用するようにしています。実は巾着袋は、どんな子ども達も魅了 する魔法の道具なのです。そこである考えが浮かびました。私は巾着袋からリンゴを取り出し、”Look, banana!”と言ったのです。私が間違っていたら、彼女はすぐに間違いを訂正するだろうと考えました。子どもは大人を「あっ!」と言わせたいと思っているのです。このトリックは効果絶大でした。彼女はすぐに英語で”No!”と答えたのです。そして、「それはリンゴ。」と言いました。私は彼女に「そうだね。」と答え、また袋から果物を出しました。

彼女はレッスンの最後にも泣いてしまいました。しかし、理由は違います。帰りたくなかったのです。スタッフも母親もびっくりしたことと思います。

この出来事などから、息子の子育てだけでなく幼児教育の教師としてやっていけるだろうと思えるようになりました。少し気が楽になりました。

次回もお楽しみに。

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